大宰府へ向かう菅公ご一行は瀬戸内を航行中、暴風に遭う。風雨を避けるために上陸したのがこの椎田の浜。図らずも、九州上陸第一歩となった。
急で予定外の貴人の来着である。満足におもてなしするすべもない。
ぼう然と立ちつくす菅公に、漁師が舟の纜(ともづな)を巻いて「しとね(ざぶとんのようなもの)」替わりに座っていただいた。ああ、おかわいさうに。おともの人々は、涙を流した。菅公はこの漁村で数日休まれ、旅立った。
955年神託があり、社が造営された。この伝説をもとに、天神を祀る「綱敷天満宮」と命名されたという。別名「浜の宮」の境内には梅が千本植えられ、毎年「梅祭り」が開催される2月には、さわやかな梅の香が漂う。参道には露天が並び、早春を愛でる人が多く訪れる。
梅の時期が過ぎれば、天満宮前に広がる「浜の宮海水浴場」に人が集まってくる。3〜5月は潮干狩りに、夏休みは海水浴客でにぎわう。この海岸で採れるアサリは「椎田あさり」といわれ立派なブランドとなっている。
つかの間の休息を得た菅公の、心づくしのプレゼントかもしれない。 |