私の名品コーナー

2021年3月24日

浮世絵(複製)

1964年の東京オリンピックにあわせて、日本文化を世界に発信しようとの企画で発刊された浮世絵の精密な複製「集英社版 全七集 浮世絵版画」。 北斎に続く第2弾は広重(1797~1858)です。

私の名品コーナー

広重の出世作になったのが、37歳で描いた「東海道五十三次」のシリーズでした。一連の作品の中でもっとも親しまれているひとつが、右側の「東海道五十三次の内・蒲原」です。蒲原(かんばら)宿は、東海道五十三次の15番目の宿場で、現在の静岡県静岡市清水区です。

広重が初めて東海道を旅したのは天保3年(1832)、蒲原を訪れた時は夏でしたが作品は雪景色です。雪や雨、月といった風景も広重の風景画の特徴です。
この作品は、昭和35年(1960)発行の「国際文通週間」の記念切手にもデザインされました。

私の名品コーナー

左側は「名所風月花・こがね井つつみの花盛り」。現在の東京・小金井市周辺の玉川上水堤の桜並木です。
集英社版の編集責任者を務めた菊地貞夫(当時:東京国立博物館浮世絵主任)は、この作品について以下のように解説しています。

「名所雪月花」は、広重の描いた江戸名所の多くの作品中でも、特に描線に重きをおいた点で、特色ある作品である。
小金井堤は、今日でも桜の名所として知られるが、一面に花を開いた桜を見物にやってきた人々の自然を楽しむ姿を、広重はよくとらえている。そして視点を低くして構図した描き方も、緑や藍や淡紅で彩った地上のものに対して、美しい橙色でぼかし上げた中空に富士の姿がくっきりと浮ぶ。広重の作品中でも珍しく明るく、また季節感をよく出した風景画というより、風俗画だといえよう。

今はコロナ感染予防のために以前のような花見はできませんが、江戸時代の花見をご想像ください。

九州国立博物館へのお問い合わせ

ハローダイヤル:050-5542-8600(オペレーター対応)
※ハローダイヤルご利用には、通話料が必要となります。
ご案内時間: 9時~20時まで 年中無休

九州国立博物館ホームページ
住所

公益財団法人九州国立博物館振興財団
〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4丁目7番2号


© 2020 copyright KYUSHU NATIONAL MUSEUM PROMOTION FOUNDATION. All Rights Reserved.